
映画「大日本人」が11月にDVD化されるそうだ。
映画「大日本人」とは言わずと知れたダウンタウン松本人志第1回監督作品だが、ある情報によると興行成績が約12億円、入場者数が約80万人だったという。あの映画を見た人ならわかると思うが、いくら松本人志が今回万人受けするように作ったと(言っていると)はいえ、どうしても松本独特のシュール・レアリスム感や哀愁が臭う作りがめちゃめちゃ万人受けするとは思えず、結果賛否両論だったと思う。
そんななかでも(いや、そういう作品だったからこそ)これだけの多くの人間がこの映画を見ることにより、これだけのお金を弾き出したことは(この映画の損益分岐点がいくらだったという話はとりあえず置いといて)、とても脅威なことだと思っている。
松本人志の笑いは、単に「面白い(笑える)、面白くない(笑えない)」の他に、もう一つ別の言葉に出来ない感情(や人間に及ぼす作用)があるという気がしてならないのだ。
それは、僕が先日劇場で見た「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」を見た時にも何となく思ったことだ(「ヱヴァ」の場合は「笑える、笑えない」という計りではないが)。掟シンジの「逃げちゃだめだ!」という台詞を聞いた時に、思春期のドロッとした黒い記憶が僕の脳裏に蘇ってきてしまい、震えてしまった。
最近の映画や音楽には、そういった「言葉に出来ない感情」を感じさせる作品が少ないなあ、と感じます。だから僕は今、映画や音楽を「言葉」に出来ないんだと思う。
