
これまで内容のマニアックさや値段の高さ故にあまり触手が伸びなかったSound & Recording Magazine(以下、サンレコ)だが今月号は迷わず買った。何故なら今月号はサンレコ300号記念で、コーネリアスと高木正勝によるDVD『toner』が付録として付いていたからだ。今年新作を出すという噂のコーネリアスの今現在のモードを確かめるためにも迷わず買った。
今回のプロジェクトはコーネリアスが音を作り、それに高木正勝が映像を付けるというコラボレーション企画で、雑誌の付録という企画柄コンセプト等考慮されたところもあるだろうが、非常に興味深い面白い内容だった。
プリンターの印刷音、ピアノ、エレクトリック・ピアノというミニマムな音構成で、前アルバム『point』の雰囲気を踏襲しつつも、優しさや暖かみを感じるトラック。その音に寄り添うように色とりどりな線、波、揺れがブラウン管(今は液晶か、、、)を彩る。音に呼応する映像といえば『point』でも散々やっていたが、『toner』との明らかな違いは色だ。青と白に統一されていた『point』の単色シンプルな構成に囚われない自由な色と音。そこに溢れる暖かみ、優しさがここにはある。そして今まで聴いたことないはずなのに、どこか懐かしさを感じるような音。これらのキーワードがコーネリアスの今のモードのある断片なんじゃないかと僕は感じた。あなたはどう感じましたか?
あと付録DVDだけでなく、これまでサンレコで取材されてきた作品を厳選して、新たにその当事者に回顧してもらうという企画も非常に内容の濃いものなので買ったほうがいいと思いますよ。