
以前こちらでご紹介した、ドイツ人が辛辣な日本語で謳い上げるユニット、シントウが4年半ぶりに新作『イチからゼロ』をリリースした。
この4年半日本では意識的にも、政治にも様々なところで地殻変動が起こり、しかしそれは必ずしも良い方向に向いていないというのは恐らく誰しも周知の事実だろう。そのようななか、ドイツでは日本の空気をどう感じていたのか、シントウの新作には強い興味があった。
やはりというかこれまでもそうではあったが、1枚通してネガティヴな言葉のオンパレード。「わななき」とか、「首にかかる縄」、「だらだらだらだら、と死んでいきます」と1枚聞くまで何回死ねばいいんだと思うほどだが、まさに今の日本がこういった瀕死の状態だということなのだろう。
音はエレクトロニカに生音が入ったダンサブルなもので相変わらずかっこ良い。このある意味アンバランスなところが、この音楽を楽しめる大きな要因となっている。
このアルバムでは、「死」というものをデジタル信号としての「1⇒(から)0」というものに置き換えることにより、「死」というものをドライに捉えているように感じるし、ドライになってしまっている現状を憂いているようにも感じる。「死」を描くことにより「生」をあぶりだしているようにも感じる。
毎年3万人もの自殺者が生まれているこの日本で、「生きることとは何か?」、「生きることの意味は何か?」を問われている私たち、生きているほうの日本人。
「さて、明日からどう生きていこうか?」
シントウを聴いているとそんな禅問答が永遠に繰り返される。そんなふうにして生きていく、今日、今日、そして今日。