
終了して少し日が経ってしまいましたが、EXTREME NIGHT Vol.3、無事終了しました。ご来場の皆様、出演者の皆様、青い部屋スタッフの皆様、主催者(僕含む)の皆様、お疲れさまでした&ありがとうございました!
今回もちょうどいい案配のご来場の方の数で、ハコ全体のスペースに対する割合も丁度良く、興業的には若干の赤でまたもや僕のフトコロを寒いものにしまいましたが、とても過ごしやすい、いいイベントにすることができたと自負しています。
今回の出演者は、ライヴにタバタ&あだちDuo、Cosmic Urination、ダウジノイザズ、Filthという個性的な4組。そしてDJにレギュラーであるodaq、ろくでなしに加えてゲストDJに☆みほちゅう☆さんをお迎えした。
前回同様15時30分頃に現地入りし色々と準備、というか出演者、主催者等と雑談。前回から渋谷青い部屋に会場を固定したからか、主催者サイドにもどこか余裕が感じられる。
前回同様リハは出演順の逆で行った。タバタ&あだちDuo、Cosmic Urination、Filth、ダウジノイザズの順番。皆淡々と音のチェックを青い部屋のPAの方と打ち合わせながら、本番でのパフォーマンスをどういうものにするか模索しながら演奏している。本番と同じような演奏になるとは思わないが(特にEXTREME NIGHTの出演者は偶発的なユニット形態での出演を意図的にお願いしていて、本番一発勝負のセッション要素が高いので、尚更同じようなものにならないと思う)、いや、思わないからこそ、リハでの演奏そのものも1つのライヴのように感じられて、それを見ることができるのは主催者冥利に尽きる。至福の時である。前回は出演者の枡本航太さんにインタヴューをお願いしていたりして、僕自身結構テンパっていたので、今回はそういった面でも余裕があったのだ。
開場時間の18時になり、いっしーさんの客入れDJが始まる。今回は普段のDJではとてもかけられないような長尺の曲を3曲用意したとのことで、持ち時間30分のなかで、あまりDJ卓ですることもないようで、場内のいろんなところに回られて雑談してました。タバタさんに「この曲はこんな感じなの?ループしてるの?」と聞かれたので、「こんな感じみたいですよ」と答えた瞬間に曲が転調したのが面白かったです。かけた曲は以下のようなものでした。
A Farewell To A Crimson king In A Crimson Way/Comity
Sheets Of Easter/Oneida
Hypnagogue/Vurrent93
そんなこんなで今回のトップバッター、ダウジノイザズの登場の時間に。レギュラーのアウラノイザズに今回はラップトップと自作のウッドベース形態のエレキベース(らしきもの)を携えた二人組、ダウジング同好会を迎えてのライヴ。セッション的な要素はあまりなく、アウラの二人もハープをあらかじめ決めた通りに淡々と弾いている印象。その上にダウジング同好会の音が乗るという感じで、それぞれのパートがループ演奏しながら、徐々に音のテンションが上がっていく。ハープの音とダウジング同好会の音の相性は抜群に良いと感じたので、そこに彼等なりのエクストリームな要素がもう少し欲しいとは思った。構築美の果ての破壊が見たかったところである。次の展開が楽しみだ。

続いては、DJ odaq。前回、前々回と実にodaqさんらしい爆音DJで僕は良いと思ったのだが、odaqさんは客の反応を不安に思ったか、今回は割と控えめな印象。タバタさんが在籍しているAcid Mothers Templeの音源をかけたときに、タバタさん自ら「今かかってるの、何ですか?」と問い合わせてきたのが面白かった。しかし、タバタさんが在籍していないときのものだったらしい。他には高円寺百景などをかけていた。これもこれで今のodaqさんの音の好みの一面を垣間見たようで、odaqさんらしいDJだった。

次は、Filth。いっしーさん、junneさん、toruさんの3ピースバンド。前回でのライヴでは、割ときっちりと展開を決めて臨んでいたが、今回は割とフリーキーというか、全体の展開をきっちり決めてかかっているのではなく、リフの力に身を任せているような演奏で、前回よりもエクストリーム度が増していたと思う。演奏中もお互いがアイコンタクトで次の展開を指示していくさま、そこにドラムのtoruさんが予想もしなかった表情を浮かべるギャップがツボだった。音も前回よりも僕のツボにハマっていたし、バンドのやりたいことがより明確になっていることは間違いない。

続いてはDJ☆みほちゅう☆さん。今年6月に三軒茶屋クロームで行われた独逸世界杯開催記念重低音ナイトでDJをやられた方である。とにかく重い音。ノイズ、インダストリアル、HR/HM、プログレなどをかける凄まじいイベントだったようで、僕は残念ながら行けなかったので、どういう重低音が鳴らされたのか聴いてないのだが、そのイメージからすると(どんなのをイメージしてたんだよ、って感じですが)こちらも控えめな感じの選曲をしてきたらしく、落ち着いて聴かせるようなセットリストだった。選曲も僕好みのものが多かった。デザイナーをやられていて、今回のフライヤーも作成していただいたので、そのセンスがDJにもあらわれていた。

1回目に続いての出演のCosmic Urination。今回は、角田俊也さん、伊東篤宏さん、宇波拓さんに加え、ベースの畠中実さんも参戦。4人体制である。バンマスである角田さんが作成した今回のライヴをイメージした抽象画を見せていただいたのだが、これが30分で作ったと思えないほどの素晴らしい出来で、これが音にどう変換されるのか、非常に楽しみであった。
その抽象画のイメージはなだらかな坂を登っていくと突然の渦巻きに飲み込まれるようなもので、その渦巻きのなかに暴風雨と宇宙が渦巻いている感じを想起させる。
角田さんのビリンバウと伊東さんのオプトロンが爆音を鳴らし、そこに宇波さんのキーボードと畠中さんのベースが絡んでいく。それが、暴風雨と宇宙のイメージを見事に音像として形作っていた。オプトロンの光が視角にも衝撃として飛び込んできて、目と耳を同時に刺激する。このバンドは見事なほどにライヴバンドである。前回見たものとは全く違うものだった。次も全く違うものになると思われるので、是非見てみたい。

そして、DJろくでなし、僕の出番である。今回はセットリストをきっちり決めないで、ネタをいっぱい仕込み、その場の勘(場の雰囲気とか客の反応とかを考慮する余裕なんてないので)で決めていった。家でしこしこ印象に残ったテレビ番組の音をCD-Rに録音し、それをCDJにかけて面白いようにループしたりして、それをまたCD-Rに録り直すという原始的な作法で、曲以外のネタを今回は用意してみた。で、そのセットリストはコレ。
【TV】安倍内閣官房長官総裁選立候補表明演説/安倍内閣官房長官
時は来た/オシリペンペンズ
Immigrant Song/LED ZEPPELIN
one armed scissor/at the drive in
Lemonade/The STARS
KUGGED by dj klock and moyunijyumo/久下恵生
【CM】エバラ 生姜焼きのタレ/川平慈英
ないないない/MOST
Starfuckers,Inc/Nine Inch Nails
Zuckendes Fleisch/EINSTURZENDE NEUBAUTEN
【TV】おもいっきり生電話/みのもんた
B面最初の曲/THE GEROGERIGEGEGE
生きとし生ける物へ/森山直太朗 どうですか?めちゃめちゃ反則スレスレでしょう。というか、反則でしょう。ま、正直アタマとケツの流れはほぼ決めていたのですが、安倍官房長官であれだけウケるとは思わなかったですね。いやー、ウケたんですよ。これまでやってきたDJのなかで一番手応えを感じましたね(笑)。

で、ケツの森山直太朗が若干スベる雰囲気だったのですが、そこを次の出番であったタバタさんが、口パクで熱唱するという奇跡のアドリブを披露していただいて、難を逃れました。場内大爆笑。いやー、さすがだなあ、と思いましたよ。百戦錬磨のライヴ達人だなあ、と。

そのまま、今回のトリのタバタ&あだちDuoへ。田畑満さんは、現在Acid Mothers Temple、Amazon Salivaなどで活躍している名ギタリスト。あだち麗三郎さんは俺はこんなもんじゃない、タラチネ、henrytennisなどでサックスを吹かれています。田畑さんは以前Amazon Salivaで見たことがあったのですが、あだちさんは僕は今回初見でした。田畑さんのその場の思いつきであろうギターループにあだちさんのサックスが(これもアドリブだろう)乗っていく。途中客席に乗り込んだりしていって、場内の笑いもしっかり取る。さすがだ。途中あだちさんがドラムに向かっていきドラムを叩いて激しい演奏にもなる。リハとは全く違う演奏。フリー・フォーム・ミュージックの極地を見た気がした。感服。
そして、最後に今回の出演者に歌もののバンドがいなかったから、ということで、Boomtown Ratsの「哀愁のマンデー」の日本詞バージョンできっちり締めていただき無事終了。
いや、今回も手前味噌ですが、楽しいイベントでした。出演者、ご来場の皆様にも楽しんでいただけたようで、良かったです。これは個人的に思ったことなのですが、前回と同様、イベントの流れ的にトリまでに溜めていったパワーをトリで爆発させるというか、そのバネの跳ね返りの強さがこのイベントにはあるな、と思いました(それはトリ以外のメンツが良くないという意味ではなくてバランスの問題です)。これはイベントとしては良い傾向だと思うので、次回もそういった強力なメンツを揃えて臨みたいと思います。
次回は来年の1月13日(土)、場所は同じく渋谷 青い部屋です。新年早々楽しみましょう。お楽しみに!