2006年08月17日

連続ドラマ『人生』

 先日NHK総合で『イッセー尾形のたった二人の人生ドラマ』という番組を放送していた。イッセー尾形(以下、尾形)について僕はライヴビデオ2本(『イッセー尾形がみたい!』のVol.6とVol.8)とたまに出るテレビ番組程度でしか知らないのだが、あの「日本の何処かに居そうできっと居ない。でも頑張って探したらいるかも。いや、やっぱり居ないだろうなあ」という尾形のマニアック極まりない人物描写というのは、どんな役者が演ずるどんな人物よりもリアルで滑稽だ。それはきっと尾形が演ずる人物それぞれの特徴が非常に細かいところまで考えられて発せられる(と想像できる)立派な一つの人格だからだろう。

 例えば、今回のドラマで尾形が演じた人物でも、3話中3話とも装着しているメガネが違う。これだけでも人物の性格や生き様がいくらでも彼には想像し選択できるのだ。そのいくつもの選択肢のなかで、尾形が今回の台本の無いドラマのなかでリアルタイムに取捨選択していく。

 今回その人物描写に答えるのは、大泉洋、小松政夫、石田ゆり子の3人。3者それぞれが対面での芝居に挑む3話オムニバス。しかも決まっている事実は2人の関係のみで、セリフは全てアドリブだという。もちろん台本は無いし、ストーリーは2人のアドリブで進んでいくし、どこで終わるのかもわからない。文字通り「答えの無いドラマ」である。
 普段は一人芝居をホームとしている尾形が今回この3人の役者と対峙したわけだが、対峙というよりはその「演じている人物がその演じている人物にしか見えない」尾形に付いていくのに必死という感じで、その必死さから溢れたしまった「人間味」がドラマという料理のスパイスのように見えて面白かった。スパイスがよく効いていた。

 まあ、人生は「答えの無いドラマ」というありきたりなことを先ほど書いてしまったが、ぶっちゃけてそれは間違いな話ではないわけで、今回の3つの話も、実は日本中のどこにでもあるような2人の居酒屋での風景切り取っているだけのことかもしれない。そして、そんな話が実はどんな感動的なドラマより一番面白いのかもしれないですね。   
 
 実は僕も居酒屋で知らない人に笑われていたりするのかなあ……。


posted by 植木孝之 at 13:44| Comment(0) | TrackBack(0) | TV・芸能 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月10日

思春期のオト。

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 ギターロック。

 その名の通りギターを鳴らすことによって発生させるロックの磁場だが、ギターの音にとことんこだわっている、つまりその人にしか鳴らせないギターの音というものにこだわっているものは意外と少ないと思う。とりあえず僕の思いつくところを(何故か日本に限定して)挙げてみる。
 
 ギターの音が悲しみ、苦しみ、切なさ、怒り、そして喜び。人間のあらゆる感情を物語るex.ブランキー・ジェット・シティ、浅井健一のギター。
 そのカッティング・ギターが目の前の景色を無惨なまでに切り裂き、紫と黒の空間に染め上げていったex.ミッシェル・ガン・エレファント、アベフトシのギター。
 緩み切った弦を鳴らしているかのような、揺らめいて歪み切ったサイケデリックな空間世界をギターで表現しているオシリペンペンズ、中林キララのギター。

 そして今回僕が挙げる徳島出身の女の子3人バンド、チャットモンチーもその例外ではない。以前より存在は知っていたが、ジャケ写などから見て、どうせ徳島出身という素朴さを売りにした地味なギャルバンだろうと思って敬遠していたのだが、先月リリースされたメジャー・ファースト・アルバム『耳鳴り』を聴いてちょっと驚いた。確かにルックスは地味だが、音は意外と硬派というか、純然たるギターロックの様相を呈している。

 10代後半から20代前半くらいの女の子の大半が持っているであろう主に恋愛に対しての感情、例えばこの感情が明日にはなくなってしまうんじゃないかという恐怖、私が2番目でもあの人に好かれているのなら構わないという歪み、何故私はあの人のことが好きなんだろうという悩みなどの思春期特有の負の要素をテーマにした歌詞に、ポストパンク的な変拍子の曲やオアシスばりのウォール・オブ・ギター・サウンドな曲など、90年代前半のUKギターロックにハマった僕なんかにはずっぱまりなサウンド・アレンジ。曲毎にギターの音色を変えつつ、そこには通底一貫した何かを感じる橋本絵莉子のギター。やるなー、と思っていたら何とサウンド・プロデュースにex.スーパーカーのいしわたり淳治が参加していた。なるほど。

 スーパーカーが解散してから、いしわたり淳治は主にエッセイの執筆や作詞提供などの活動をしていたが、このチャットモンチーへの「サウンド」面でのサポートがもたらした影響は大きいと思う。彼もスーパーカーではギターを演っていたから、ギターの音色には細心の注意を払ったのだろう。

 チャットモンチーについて書いてあるブログなんかを読んでみると、10代後半の女の子などの結構若い人が好きで聴いているようだが、こうしてギターの音を通じて、ギターロックの歴史が引き継がれているのはとても嬉しいことだし、そういえば僕もこういうふうにどこかの波に飲み込まれて音楽を聴いてきたんだな、ということを再確認した。
posted by 植木孝之 at 16:59| Comment(2) | TrackBack(0) | えらそうに評論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月06日

ゲージツはバクハツだ!

明日の神話

 岡本太郎作『明日の神話』を昨日汐留まで見に行ってきました。
 ヒロシマにゲンバクが落ちた前の日に見に行ったことに、特に意味はなかったし意識もしていなかったのですが、たまたまとはいえ何か惹きつけられるものがあったのかな、と勝手に思ってます。そして、僕がこの絵で一番印象に残った絵の丁度真ん中であらゆる外圧に苦しみ燃える骸骨を何故か自分自身の現状に投影してしまったりと、都合の良い解釈をしていました。

 この巨大壁画を岡本太郎が書いてから、約37年もの月日が経過していて、絵のインパクトやポップ性(公共性)は保たれてはいるものの、当時岡本太郎がその絵に絵の具とともに塗り込んだメッセージ、いや怨念とも言える祈りは伝わっているのかなと、この絵の前に立ってピースとかして記念撮影している人を見て思いました(僕もこの絵を撮影しているのだから人のこと言えないんですけどね。ちなみに絵の撮影は可です)。ま、良く言えばポップ・アートというのは誤解というあらゆるものの解釈があってナンボだと思うので、それに対しての怒りとかはないですけどね。でも、見て良かったと思ってます。皆様もお時間がありましたら是非見てみるといいと思います。
posted by 植木孝之 at 11:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記・その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月25日

七色の星。

 堂本剛のソロ・プロジェクト、ENDLICHERI☆ENDLICHERIのニュー・シングル『The Rainbow Star』が届いた(というか、買った)。
 約4か月(2か月+1か月半)にも渡る長い期間、しかも1つの場所で行う(逆に言うと、だからこそこの長い期間の拘束を可能にしたわけだが)という異例な形でのコンサートを行い、現在も音楽漬けの日々を送っているであろう堂本剛がENDLICHERI☆ENDLICHERI(以下、ENDLI)プロジェクトを立ち上げるにあたり、本来は『ソメイヨシノ』ではなくこちらの楽曲で1発目のデカい花火を打ち上げる予定だったという。
 なるほど、楽曲は「ソメイヨシノ」とは180度異なる、アップ・テンポなノリのよいものだ。プロジェクトのキックオフ・ソングとしては申し分ない。感触としてはアルバム『Coward』収録の「Six Pack」に近いだろうか。ENDLIが描き出すソウル・ミュージックに裏打ちされたブラス・アレンジ、細かい技が効いているリズム・パターン、多重コーラスが壮大な祭りのはじまりを予感させる。
 この楽曲がこれまでのENDLIの楽曲(堂本剛名義の楽曲)と大きく異なるところは歌詞だ。これまでのギリギリ前を向いていながらもどこかウジウジしていて煮え切らない男性像(おそらく、堂本自身もそうなのだろう)とは違い、独りで「バッファローの群れ(これからENDLIの目の前に起こるであろう数々の障壁)」に立ち向かう勇気とそれらを打ち「砕く」ことができるという自信がこの歌詞からははっきりと聴こえる。
 以前も書いたかもしれないが、やはりこのプロジェクトは異例だと思う。単に「名前を変えて、はいどうぞ」というものではなくて、彼は(また彼のまわりにいる人間は)長期的な視野からこのプロジェクトの行く末を見据えている。そして、そのなかにいる堂本剛は何かにアゲインストし、何かを変えようとしている。それが何なのかは前にここに書いたようなことかもしれないし、そうではないことかもしれない。つまりはこれからの彼の活動を見ていかないとわからないことだが、その何かに対しての意志表明としてこの曲は七色の星を発光させていることは間違いないことだ。あなたにはこの七色の星は見えるだろうか。
posted by 植木孝之 at 22:09| Comment(2) | TrackBack(0) | えらそうに評論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月14日

浸透の夜。

シントウ

 先月の8日のことになりますがこんなイベントに行ってまいりました。その頃はおそらくW杯ムード満載だったであろうドイツからわざわざ6人も来日。
 局所中の局所で話題騒然、オレオレ激押しのシントウ他2組のライヴと、そのシントウの代表曲「ケイレン」を某ロック夜話でご紹介頂いたサワサキヨシヒロ!さんやCAPTAIN FUNK(TATSUYA OE)他1組のDJという局所では豪華な組み合わせ。

 19時開演で僕が入ったのが18時40分くらいだったのですが、その時フロアに居たのが多分5人くらい。さすがにギュウギュウの満員だとは思ってなかったんだけど、少なすぎ(苦笑)。
 客入れのDJのサワサキヨシヒロ!さん、すげえアゲアゲで面白かった。ハウスに民謡をかぶせてそのまま民謡ハウスに移行するところなんて、さすがだなあ、と感心する。ピストン西沢さん的なユーモアを感じる。ま、西沢さんのDJはもう少し芸能寄りって感じがするが。

 そのうち客も増えてきて、サワサキさんがライヴアクトを紹介。Convertibleという3ピースバンド。ドイツ出身のバンドらしいが、オーストリアでインディーチャート1位とかになっているらしい。で、何とドミノ・レコーズも実はハンスの為に作られたなどの逸話を持つ実力派ロック・バンド。これがなかなか良かった。ジャーマン・ロックというよりはUKロックに近い音なんだけど、ジャーマンぽい変態チックな隠し味を持っているというなかなかの曲者バンドだった。ゆるいフレーズで流れていくかと思いきや、急に激しいカッティング・ギターを鳴らしたりするという変幻自在な音像。ベースは女性だったんだけど、スタイルいいしベースウマイし。いいですね、女性ベースは。
 ドミノ・レコーズ設立のきっかけになったという話を前述しましたが、フランツ・フェルディナンドなどのドミノ・レコード所属バンドにない渋みを持っているというか(逆に言うと甘さがないんだけど)、簡単に言うとポップではあるけど今っぽくない感じが僕には好感触でした。日本のバンドではSTARSが近いのかな。
 
 続いてミュンヘンでヘルとかのサポートとかやっているらしいDJ MOONER。イケメン。だけど音はちょっとゆるかったかな。場には合ってたと思います。と、偉そうに言う俺。

 この辺で純米原酒『タクシードライバー』や純米原酒『赤犬大艶會』などの「サブカルと日本酒の素敵な融合の第一人者(というか他にいない)」でお馴染みの喜久盛酒造(株)5代目の藤村さんにご挨拶。以前シントウに喜久盛酒造のCMソングを依頼する(曲は題名と歌詞を変え、新作『世界』に収録されています)という鬼畜な行動に出た藤村さんにシントウの時間を聞いたらこの次ということで、シントウを待つ。

ケイレン

 シントウ出てくる。アー写とかを見ると2人組なので、2人かと思いきや3人出てきた。先ほどライヴをやったConvertibleのギターのハンスがシントウのメンバーでもあってギターを抱えている。そして、Convertibleのドラムがサポートにまわり、フロント・マンのカミ・トクジロウ氏登場。めちゃめちゃ白人なのにめちゃめちゃ流暢な日本語。僕らはデーヴ・スペクターやブライアン・バートン・ルイスやクリス・ヘプラーなどの外人顔(そりゃそうだ)と流暢日本語のギャップにはある程度慣れてはいるけれど、実際見るとやっぱウケる。それは流暢であれば流暢であるほどウケるし、場違いな言葉であるほど衝撃(笑撃)度が増す。
 場違いな日本語のオンパレード。そしてこぶしの効いた声の熱い魂の絶唱。そこに乗る踊れるハイブリッド・ダンス・サウンド。それらの要素が奇跡的なバランスで摩擦し、渾然一体のカオスと化ける音楽。それがシントウの音楽だ。

 僕はシントウのライヴはこの日が初だったので、これまで聴いてきた音源から察するに、非常にシリアスな磁場から放たれている部分が多いバンドだと思っていたんだけど、ライヴはめちゃめちゃインパクトがデカく、娯楽性の高いものだった。以前はハンスのベースとカラオケでカミ氏が歌う形式だったようだが、今回はドラムにギター、音はPCからの打ち込みに変わった。音のクオリティの高さはアルバムを聴けばわかるが、ライヴでもその実力は裏打ちされており、タイトかつハードなドラムはリズミカルに刻まれ、ギターのカッティングは切れ味抜群だ。そして、世良公則(ツイスト)ばりに大股開きで歌うカミ氏の威風堂々としたさまは素晴らしい。日本情緒にグッとくる。そしてそのさまで、

「堪忍してよお母さん 頭の回路が切れただけ」

とか

「ケイレン いさぎよくケイレン 気持ちよくケイレン」

とか歌うのだ。

 いやあ、凄いなあ。強烈な表現だなあ。こんな強烈な表現、日本人じゃ無理かなあ。無理だろうなあ。いっそシントウには日本に長期在住でもして日本の地に根付いた活動をしてもらいたい気もするけど、きっとそうすると日本に対しての愛着とか今より湧いてくるだろうからこういった悪意に満ちた表現とかできなくなるんだろうな。日本と一定の距離(物理的な距離と精神的な距離)を持って日本を見ているからこそこういう表現ができるのだろう。だって、今更「ポア」なんて曲出さないよ(新譜『世界』に収録)。遅い。でもその微妙なズレがとてもいい。名曲「希望」での客との「希望がある限りずたずたでも生きていこう」という合唱を挟み、シントウの感動のオン・ステージは終了。

 次はキャプテン・ファンクことオオエタツヤさんのDJ。サラサラの直毛ヘアでホスト風イケメンの外見。そういえば昔オオエさんてアフロ・ヘアーでしたよね?(あれ、違かったっけか?)久々にオオエさんのDJ見たけど、やっぱりいいな。安心して踊れる感じ。そんな感じでオオエさんのDJで気持ち良く踊ってたら藤村さんに呼ばれ、カミ氏を紹介される。ペプシ・コーラを飲んでいたカミ氏はとてもフランクないい方だった。
EXTREME NIGHTでホッピー神山さんとシントウの話したんですよ」ということなどを普通に会話する。そりゃ、カミ氏は日本語ペラペラだから普通に会話するさ。その後、藤村さんが御社の日本酒を持参していたので、UNIT地下の楽屋にお邪魔してシントウのメンバーさんやシントウ縁りの方々や本日の出演者さん達とご一緒に日本酒を頂くことに。
 いやいやまさかUNITの楽屋にお邪魔して、しかもシントウのメンバーさん達と日本酒を酌み交わすことになろうとは思わなかった。しかもみんな外人(白人)だし。しかし、外人にも日本酒は結構イケるようで、「ウマい、ウマい」とか「デリシャス」とか言っていた。
 何だか変な世界にトリップしたようで不思議な気分でしたね。とても貴重な経験できました。藤村さん、ありがとうございました。

 そういうわけで、結構呑んだので酔いも回っていたり、終電の時間との兼ね合いもあったので、キャプテン・ファンクのDJ終了後会場を出る。天下一品恵比寿店でネギ、玉子トッピングのこってりラーメンを食い、帰宅。

 濃厚な夜だった。あー、ぐったり?
posted by 植木孝之 at 11:25| Comment(0) | TrackBack(0) | えらそうに評論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月23日

では2発目いきます!

 「音」という目に見えない1つ1つの粒の集まりが人の手によって構成されてできる芸術(とここでは敢えて書く)が音楽である。

 僕はここ最近のUK周辺のギター・ロックに、その「音」が光の如く輝く瞬間を感じられずにいた。やけにレイド・バックした古臭い、まるで新品をあたかもオールド(ユーズド)であるかのように加工した、嘘臭いジーンズのようなものばかりだと感じていた。

 スノウ・パトロールというバンドの2ndアルバム『アイズ・オープン』は違う。ここにはやさぐれた空しく錆びれた音は何ひとつ鳴っていない。光の結晶の集合体がとても大きな世界を生み出していて、それらが磁石に群がる砂鉄のように群がっている。
 スノウ・パトロールは1994年に結成された北アイルランド、ベルファスト出身のバンドで前作『ファイナル・ストロー』がブレイクを果たした。
 前作の大ヒットの重圧に押しつぶされず、逆にこのプレッシャーをバネにしてこれだけ洗練された、所謂化けた作品を残してしまうバンドも最近のUK周辺のバンドでは珍しいだろう。
 最近のUK周辺のバンドは実力と経験に伴わないデビュー時のセンセーショナルなプロモーション攻勢に疲れ果て、燃え尽きてしまうパターンが目立っていたが、スノウ・パトロールは自らのペースを崩すことなく、良い曲を作るという極めて基本的かつ大きな命題に押しつぶされることなく、見えない自らの壁と徹底的に戦った結果が今作である(この辺は自らのペースを崩さないバンドが多いグラスゴー周辺のバンドの影響が強いのかもしれない)。

 歌詞はとてもパーソナルな恋人(対人間)との儚い関係性を描く内容のものが多く、それらはとても内省的であるが、故に曲の広く蒼い世界観とのギャップが作り出す永遠へと続くと思わせる科学反応としての飛距離の大きさが、彼らの楽曲を高く光の先へと発射させるのだ。
 このアルバムで踊っている言葉。「オープン・ユア・アイズ」、「シャット・ユア・アイズ」。僕には同じ意味に思える。その答えはあなたの耳を通過した先の心のなかにあるだろう。
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2006年06月20日

あー、あづい

 今日このごろですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。僕は(というかみなさんそうかもしれませんが)連日のサッカーW杯の中継(のスカパー録画放送)を見ているせいで、なかなかここが更新できません。懲りずに見ていただいている方々には申し訳ないです。

 なので、今回は新たに書いたものではなくて先月くらいに書いたものなのですが、レコ評のストックを放出させていただきます(この期に及んでストックかよ!←と自分に突っ込む)本当はもっと煮詰めたかったのですが、そんな時間もないし、キリがなくなってしまい、いつまで経っても出せなくなってしまうので。
 
 では1本目です。どーぞ。
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2006年06月07日

【レポ】EXTREME NIGHT Vol.2(後編)

 会場時間の6時を回った。急遽客入れのDJを任され、DJの時にかける予定の曲以外のものをかける。僕が当初DJの時にかけようとしていた硬質なエレクトロニカ。エイフェックス・ツイン、オウテカなどから、DJのodaqさんが用意していたディス・ヒートがとてもよかったので、そこからポップ・グループなどへのニュー・ウエイヴへと流れていく。

Filth

 客もそこそこ入りはじめ、今回の1番手Filthの時間となった。Filthは、今回のイベントの首謀者いっしーさんとP.R.O.M.でおなじみのjunneさん、そしてjunneさんの弟toruさんの3ピースバンドである。この日はFilthの初ライヴでもあったが、初の音合わせの段階でお互いがどういう音を求め合っているのがはっきりわかったようだ。初ライヴということもあって、当然ながら僕は初めてライヴを見たのだが、非常にシンプルかつ重厚なストーナー・ロックでかっこよかった。テクニックはアマチュアだけに凄いとは言えないけれども、その分お互いの音の隙間の埋め方、また埋めるタイミングが絶妙。お互いの音を良く聴いているな、良い耳してるな、と思った。これなら僕にも出来るだろう、と一瞬思ったりもしたが、こういう音を出せるのはきっと耳の成熟度と柔軟性が織り成す年輪のようなものが要求されるだろうから、僕にはまだ早いだろう。渋かっこいいバンドだった。次回はまた成熟に磨きがかかった音を聴かせてくれるだろう。楽しみである。

DJ odaq

 odaqさんの相変わらずのヘヴィーな重厚爆音なDJを挟み、ホッピー神山+アウラノイザズの登場の時間に。アウラノイザズはハープを軸にそこにラップトップを絡ませる、いわゆるアナログとデジタルのミルフィーユのような、かわいパンクな女性二人組のユニットだが、本日は日本を代表する音楽家ホッピー神山さんとの三つ巴決戦である。経験では圧倒的にホッピーさんのに分があるが、さてどう転がるか?

アウラノイザズ+ホッピー神山

 まずはアウラノイザズのポップなラップトップからのボップな打ち込みからハープが絡む。こういうのもできるんだ。凄いなあ。やはりセンスあるなあ。と感心していると、後ろに陣取るホッピーさんが、オモチャのピアノ(足で踏んで音を出すやつ)をおもむろに取り出す。しばらくして、そのオモチャピアノを手でぐしゃぐしゃになるんじゃないかという勢いで弾きだした。うわあ、凄え。凄えパンクだ。 僕はパンクとは実験精神だと思う。つまりパンクとはこれまで誰もやってこなかったことをやるという精神を指すのだ。皮ジャンに身を固めて、体に穴をあけまくることだけがそれではない。新たな領域に踏み出そうとする勇気、そしてそれを成し遂げてしまう運と実力、それをできる人が僕にとってはパンクな人だ。そういう意味ではホッピー神山さんはパンクだった、僕のホッピーさんへのイメージが大きく覆された瞬間だった。
 アウラの二人もそれに負けじと応戦するが、さすがにちょっと押されていたかな。でも、彼女らはこの日凄くいい経験が出来たと思う。ホッピーさんのパンク精神を受け取って、今後もっと期待できる音を見せてくれることを願う。

DJ はるぴょん★

 はるぴょん★のトランスレコード、SSE絡みの非常にダーク&サイケな曲で責めまくり。僕はこのへんの曲はあまりよく知らないのですが、冷たく鋭い感触、触るとケガするぜ、という感じの曲が多かった気がします。はるぴょん★らしいDJだなと。彼女のDJはいつも独特な雰囲気があって好きだ。そしてそういう独特な雰囲気が出せることを羨ましくも感じる。

藤乃家舞+藤掛正隆+ホッピー神山

 続いては、当初はAmazon Saliva、Acid Mothers Temple & The Cosmic Infernoなどでギターを弾かれている田畑満さんが出演予定でしたが、本人が鎖骨を折る怪我をされたため、当日組む予定でしたピースピルなどでベースを弾かれている藤乃家舞さんと、元ゼニゲバのドラマー藤掛正隆さんのトリオに田畑さんを抜いたユニットでの出演になるところを、何とホッピー神山さんが急遽そこに入っていただけるという超ド級のサプライズがあり(僕も知らなかった)藤乃家舞+藤掛正隆+ホッピー神山のライヴをなった。

藤乃家舞+藤掛正隆+ホッピー神山-2

 いやあ、このライヴは凄かった!超ロッキンなライヴ。タイトかつ強力なドラムを叩く藤掛さんとベースを弾かず、別の楽器の弦とすり合わせて使ったりベースをギターのように弾きまくったりと、この2者の凄まじい音のぶつかり合い。さすがピースピルなどで、ゴツいライヴをやられてるだけあって(未見ですが、、、)佇まいやリハの時はなんとなく軟派なイメージだったけど(藤乃家さん、すいません、、、)音と音に対する姿勢は非常に硬派ですげえ格好良かった。そこにホッピーさんの神出鬼没な電子音、またピアノと時おり咆哮が混じる。その3者のギリッギリに保たれたバランスがお互いを支えながらも突き合っている感じ。土俵際のスリリングな攻防。はっきり言ってとても初組み合わせのライヴだとは思えなかった。いや、これは初顔合わせだったからこそ起こり得る不均衡に形作られた完璧なバランスの結晶だったのかもしれない。きっと音で会話をするというのはこういうことなのだろう。そして、あまりに白熱していたため時間が押すかと思いきや(次のDJが僕だったので時間調整を頼まれていた)きっちり時間通りに終わらせてくれた。

 そして僕のDJ。以前僕はこのブログで『日本に土着した演歌、歌謡曲とアメリカの黒人文化を支えてきたヒップ・ホップ。そして北欧の風土を的確に表現してきたエレクトロニカが融合したら一体どんなことになるのか、と日々夢想しながら色々試しております』とか偉そうなことをほざいてましたが、何か全然違うところにいっちゃいました。すいません。演歌をヒップ・ホップの融合なんて、無理!しかし、演歌もかけましたし、エレクトロニカに近いヒップ・ホップもかけましたし、あまり硬派なものではないちょっとおちゃらけた流れで場もそれなりに盛り上がったようですので、まあ、よかったかなと。以下、僕のセットリストです。

Keep On Fighting(『ALL NIGHT LIVE IN 桜島 04.8.21』より)/長渕剛
kannin/shinto
Park West/kuge yoshio
ORGANIC ORGASM/HAIR STYLISTICS
北酒場/細川たかし
You Must Come With Me/HEAD MACHINE
Larks' Tongues In Aspic[Part 2](「CIRKUS』より)/King Crimson
nanostorm/O.N.O
Napalm Brain/Scatter Brain /DJ SHADOW
新宿/豊田道倫


枡本航太-2

 遂に本日のトリ、尾道が生んだスーパー・ミュージック・アウトサイダー枡本航太の登場だ!主催者の挨拶にケチを入れ、ミラーボールを止めさせ、サンプラーをいじくり、デカい打ち込み音をぶち込む!ギターを掻き鳴らし、オノレの情熱と焦燥を怨念をかき混ぜ、空間とSEXする!皆、テクニックがテクニックがというが、テクニックなんてこの際どうでもいいんだよ!彼は自らの音楽への気持ち、バンドを組めないという孤独感が彼を結果的に上手くさせただけで、彼の音楽の本質はテクニックでは無い!テクニックの高さに僕はより彼の孤独感を感じてしまう。その後も彼のエクストリーム・ショーは続き、ピアノを弾き、ドラムを手で叩き、サンプラーの台に乗り感動のフィナーレ。もう、相変わらず素晴らしかった。ハズレなし!自分でも誉めすぎだと思うが仕方ない。もう誉めないの、無理!

枡本航太onDRUMS

 ソーダ水。音楽にメッセージは要らない、と言い放った彼が最後に残した言葉、ソーダ水。ソーダ水のように儚く水の中で弾く炭酸の泡のように彼の音楽は儚く美しく空間に溶ける。

 ま、こういう感じで、もう少し多くの方に数々の素晴らしいパフォーマンスを見ていただきたかったです。それは残念でしたが、イベントとしては(勿論反省点は多々ありますが)まずまずの及第点を与えられるものになったのではないかと自負しております。
 僕個人としては、今回本当に枡本航太という男をこのイベントに呼べてよかったと。彼に話が聞けてよかったと思いました。幸せでした。ありがとう、枡本航太。
 そして、インタビューでも語ってましたが、僕が押しまくっていた枡本航太の存在を覚えていてくれて、奇跡のタイミングで彼をこのイベントに招き入れてくれたこのイベントの首謀者、いっしーさんありがとう!次回もよろしくです!
 そして、odaqさん、はるぴょん★もありがとう!そして一番有難い存在です。お客さんありがとう!次回もよろしくです!
 次回は9月9日の土曜日!場所は今回と同じく渋谷青い部屋!次回もみんなでエクストリームしましょう!待ってます!!!

 前編はこちら
posted by 植木孝之 at 15:45| Comment(0) | TrackBack(0) | えらそうに評論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月02日

枡本航太インタビュー

 EXTREME NIGHT Vol.2のレポ後編がまだ書き終わらないあいだのつなぎというわけではないですが、こちらでもお伝えしたように、尾道が生んだ奇跡のロック・ミュージシャン枡本航太にインタビューさせていただきましたので、こちらにて掲載させていただきます。尚、転載は禁止とさせていただきます。リンクは可です。では、張り切ってどうぞ!

masumoto 1

「あ、オレ枡本です」
■あ、植木と申します。あの、青い部屋ってはじめてですか?
「(リハ後に差し上げた水を飲みながら頷く)」
■どうですか、先ほど(リハを)やってみて。
「あの、担当の石田さん(注:当イベント首謀者のいっしーさん)がすごい丁寧にしてくれて、やりやすいです」
■場所の感じとかはどうですか。独特じゃないですか。
「そうっすね。なんかシャンソンのとこやって聞いてたから、どんなとこかなと思っとったけど、すごい面白そうで安心しました」
■あの、僕が初めて枡本さんのライブを見たのは、今年1月の破壊宙というイベントで、とにかくすごい衝撃を受けたんですよ。
(ステージの)下に降りてやられてたじゃないですか。で、ギターやってボイス・パーカッションやって、サンプラーも凄い音出てたし、とにかく今まで見たことない表現だったんですよ。それで、僕が石田さんとかに『いいよ』って言ってたんですけど。

「あ、そうなんですか?たまたま石田さんに会ったって感じだったんですけど」
■今日やるアウラノイザズが以前六本木スーパーデラックスでやってて...(注:詳細を説明しようとしたが、偶然出会ったというドラマに感動したらしく話を遮られたので流す)
「ホントたまたまですね。凄いすね」
■音楽遍歴について聞きたいんですけど。
「素晴らしい!やっと音楽的にね、注目を」
■ははは。プロフィールを読むと「60年代から70年代の音楽を聴き育ち」と書いてあるんですが、どんな音楽を聴かれてきたんですか?
「やっぱ、ジミヘンとビートルズ。はじめビートルズが入り口で、ジョンがプレスリー好きなのを知ってプレスリー聴いたり。ま、プレスリーは50年代なんやけど。あと、ジャニス(注:たぶんジョプリンのほう)とか、レッド・ツェッペリンとか。マイルスも聴いてたけど。あと、ドアーズ。はじめはカルチャーとして入ってきて。小学生だったから。学校と家しか知らない人が聴いたらね。LSDだのフリー・セックスだのと。これは面白いのがあるぞ、と。こんな世界があるのか、と。そういうことですよ」
■それで、そういう音楽を聴いてすぐ自分でもやりたいと思われたんですか?
「ギターが落ちてまして、粗大ゴミ捨て場に。それで。(注:このへんについてはindies issue Vol.26に詳しく載ってます)」
■今のライブを見てますと、サンプラーだったりとか、ボイス・パーカッションだったりとか、ピアノだったりとか、いろいろやられてますけど、それは何かきっかけがあったんですか?
「バンドがやりたかった」
■それはギター以外の音を求めていたということですか?
「ビートが欲しい」
■それだったら、直接バンドをやればいいと思うんですけど。
「やってたけど。中学生の頃にオレがみんなにこうしてくれ、ああしてくれって感じでやってたけど...そのあと、バンドメンバー募集しとったんやけど、全然人が来なくて。バンド組みたかったけど組めなかった。で、常に募集中」
■今も募集中?
「あ、もちろん募集中」
■ピアノは独学ですか。
「あ、ピアノは一応習わされてたけど、全然真面目にやってなかったから、自分でジャズ的にやりだしたのしか身についてない」
■それは自然に弾きだしたっていう。
「作曲で使いだしたっていう感じ」
■さっきリハを見させていただいたんですけど、毎回違う曲をやられてて、同じ曲をあまり聴いたことがないんですけど。常に新しい曲は作られているんですか?
「あの、同じ曲をバラしてやったりしてるから多分違う曲に聴こえるんだろうけど。サンプラーが調子悪くて(メモリが)飛んじゃうんですよ。今レコーディングしてて、オレはライブでその場その場でやれることを追求してたから、曲作んなきゃいけなくて。時間がかかるなあと。だから、他の人はだいたいライブでやってる曲をレコーディングするじゃない?でも、オレはそういうのじゃねえから」
■どういうアルバムに仕上がりそうですか?
「それはもう面白い。形態も面白いし。それはまだ言えませんけど(笑)。1曲目から10曲目まで入ってるっていう感じのアルバムじゃないから。あの、オレのライブもいろいろ混ざってるじゃないですか。いきなり叫んだり、いきなりインストになったり。だから、そういうアルバムになります」
■どういういきさつで出ることになったんですか?
「オレが出したいと思ってて。で、出したいと言ってくれる人がいて、それが実は大阪と東京で2人いたと。それで、じゃあみんなでやろうかと」
■大阪のレーベルと東京のレーベルで、
「の架け橋にオレがなったと」
■それは凄いですね。
「アルバムを出すまでのプロセス自体も面白いし。共同で出資して1枚のアルバムを1人の人間で出すという」
■それは秋くらいっていう予定ですか。
「うーん、頑張ってねえ...頑張んなきゃいけないけど。レコーディングしなきゃいけないけど、ライブに来てるし」

masumoto 2

■(フジテレビ系列の音楽番組)FACTORYに出られたじゃないですか。僕はテレビで見たんですが、あそこの客ってほとんど枡本さんのことを知らなくて、音を聴いたことがなかったと思うんですが、すごい盛り上がっているように見えていて。
「音は全部出たら平等やから。音は平等やから」
■今日もたぶん知らない人が、まだ聴いたことない人が来ると思うんですけど。
「そうね。なんかね、こんなにね、イベントもたくさんあるし、渋谷に人も多いし、こんなに音楽が溢れまくっているなかで、わざわざ来てくれるなんてね」
■そうですね。ありがたいですよね。今は大阪に住われているんですか?
「尾道なんだけど、今はほとんど大阪と東京だから、月の半分もいないかな」
■東京と尾道の違いってありますか?
「あー、もう大概違う。商店街はもう6時には閉まるし、テナントが余りまくってるし、リズムが違うし、街が抱えてる問題も違うし、気候も違うし、食べ物も違うし、規模も違うし」
■東京(や大阪)でライブをやることによって、何か動かしたいことはありますか?
「東京とか大阪とかは器だから。都会は器で、そこでライブをやることによって世界中にバラまかれるわけやから」
■東京イコール世界ということですか?
「いや、そういうことではない。オレは東京が一番地方だと思うから...でも、思ってることがあったら、それを実現するのが人生だと思ってるから、そういうふうには、なってきたし、やっていくから」
■それは、なんで枡本さんはできるんだと思いますか?今の若い人って、そういうやりたいことができなくて(できない自分や社会に対して)不満を持っている人はたくさんいると思うんですけど。
「でも、ちっちゃい時って好き勝手にやるじゃないですか。それを親とか周りにいる人が潰してしまうだけであって、もともと人の欲求っていうのは人それぞれすごいあるから。だから、得意なことがあるなら得意なことをすればいいし、違う得意なことを持っている人同士が自分の用事で得意なことをしていけば、それが仕事として成り立つのが、オレは一番いいと思う。でも今は、大概仕事してるのは人の用事じゃない?人の用事して金を貰ってる。だからそれで空しくなるんだと思う。あんまり教えられてないんじゃないかな。日本で『人生はいい』っていうのを。特に東京はそうなのかも知れんけど。『自分で作れるよ、好きにできるよ』っていうすごいシンプルなことを大人は言わずに『どこの会社に入れ』とかさ。そういうことしか言わないから、育ってないんじゃないかな、人が」
■それは(日々生きていると)ネガティヴな部分ばかり見えてしまうからじゃないですか?
「ん?ん?何に対して?」
■んー...社会全体に対して。
「でもね、社会なんてないから。だって渋谷なんて人多いけど、全員違うんよ。考えてることも違うし、感じ方が人それぞれ違うし、人それぞれ人生が違うし、道歩いてて感じる感覚も違うし、人生の時期も違うから。だから結局何となくみんな社会っていうのがあるような気持ちで、同じ時代を生きている振りをしてるだけであって、結局は自分自身が感じることで生きていくしかないって思ってる」
■枡本さんてそういう哲学的とも思われるようなことを言われる印象があるんですけど、それがあまり音楽にフィードバックされないと思うんですが、それは意識してやられているんですか?
「音楽はね、メッセージじゃないから。音楽は音楽をやればいいし、ライブは、オレは単純なことをやってて。オレはライブをやってて、オレはギターを弾いててっていうのが、逆にいなくなってるっていう気がする。だから人が聴いて、よりダイレクトに響くところがあるかもしれないし。それに、音楽がメッセージとか1つの価値に染まったり利用されたりするのが嫌いだから、オレにとっては景色とかでしかないから。興奮とか感動とかそういうもんやから」
■今日はどういうライブになりますか?
「ま、見てのお楽しみということで」
■また、凄いライブを見れるのを楽しみにしてますんで。アルバムも楽しみにしております。ありがとうございました。
「ありがとうございました」

2006年5月21日 渋谷青い部屋にて
インタビュー:植木孝之
写真:石田雅裕

枡本航太 biography(from macaroni records)
posted by 植木孝之 at 11:36| Comment(0) | TrackBack(0) | インタビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月26日

【レポ】EXTREME NIGHT Vol.2(前編)

EX-2 kanban

 まずは、青い部屋にご来場いただきましたみなさま、そして出演者のみなさま、青い部屋スタッフのみなさま、ありがとうございました。

 第2回を開催するにあたって、さまざまなサプライズが(いいことも悪いことも)ありましたが、無事終了することができました。個人的にもいろいろな経験をさせてもらいました。多少のリスクは負いましたが(笑)。ま、そんなことはこの日の経験の大きさにくらべればたいした事ないです。

 前回もそれぞれ個性的なアクトがそれぞれのエクストリームを見せてくれた素晴らしいイベントでしたが、今回は頭で考えるよりも体の赴くままにエクストリームを追求していくような、いわゆる肉体先行型のアクトが多かったように思いますし、そういうイベントになったと思います。

 イベント当日、僕を含む関係者数名は、楽器搬入、会場準備、打ち合わせ等を行うために15時半(会場は18時)に集合。そして16時頃、リハを行うために枡本航太さん、藤乃家舞さん、藤掛正隆さんが会場入り。今回は出演順から逆行してリハを行うというスケジュールを組んだため、今回のイベントのトリをつとめることになっていた枡本航太がリハの1発目であった。これまで何回か彼のライヴを見ているが、こうしてリハを見るのは当然ながら初めての経験である。何だかとても変な感じがしたが、すげえ興奮したし単純にその場にいれることが嬉しかった。そしてギターの音が1発鳴った瞬間大げさでなく、このイベントの成功を確信した。
 枡本航太のリハが終了し、僕がイベントの直前にやろうと決断した、彼へのインタビューを打診する。「へ?何の?」と聞かれたが「いや、枡本さんの話が聞きたいと思いまして」と正直に答え了承をもらう。青い部屋はステージとは別に、ステージ横にガラス越しの部屋があるので、そこで彼と約30分間インタビューを行った。その模様というか内容はいずれここで公開する予定ですが、まずはmixi内のEXTREME NIGHTコミュニティで先行公開します。mixiに入っていない方には大変申し訳ないですが、入っている方は是非ご覧ください。そして、できればそのコミュニティに入ってほしいなあ、なんて思っちゃったりなんかして(笑)。

EX-2 interview

 僕は緊張こそしていなかったが、ものすごくテンパってしまい、何を聞いたらいいかわからなくなってしまったが、若くして既に自分の言葉を持っている枡本は、心に突き刺さる言葉を何度も吐いてくれた。インタビューなんてまともにしたことがなかった僕の拙い問いかけにしっかりと向き合ってくれて、しっかりと答えてくれた。彼にはとても感謝している。

 その後、ホッピー神山さんが登場。何故か僕に話があるという。「へ?ホッピーさんと僕は面識なんてないのに、何で?」と思ったが、僕が以前このブログで激押ししたシントウのメンバーが僕の名前を知っていたらしく、以前シントウのアルバムをホッピーさんのレーベルから出したことがあった関係で、現在でもシントウとメール交換をしているという。そして、ホッピーさんと僕がこのイベントで競演(なんて言い方はあつかましいが)するという情報を聞きつけ、僕によろしく言っておいてくれと、いうことらしい。ほー。こんなことあるものなんですね。ありがたい。
 というわけで、ホッピーさんとシントウについて雑談。まさかホッピーさんとシントウが何故日本人にあまり受け入れられないかという話をするとは思わなかった(笑)。自分の国のことがよく見えない(見ない)日本人こそが、他国から日本を俯瞰していて、日本をより鮮明に映し出しているシントウを聴くべきたと思うんだけどなあ。日本語だから(日本人に)わかりやすいし、伝わりやすい。サウンドはハイブリッドかつポップ。歌詞の内容は確かに痛みを伴うし、聴いててキツいけどさ。みんな麻痺しすぎだと思う。
(追記:そんなシントウが6月8日に来日ライヴを行います。W杯期間中にわざわざドイツから来日って何だか凄いですよね。ドイツ(ヨーロッパ)より数バンド(とDJ)、そして日本より(僕をシントウの世界へと引きずりこんでくれた)サワサキヨシヒロ!、CAPTAIN FUNKことTATSUYA OEが参加するということです。何か濃いイベントになりそうで楽しみです!場所は代官山UNIT。詳しくはこちら→PDF

 というわけで、開場前からいろいろありすぎて、わけわかんなってましたが、開場の時間は刻々と迫ってきているのでした。

後編へと続く、、、
posted by 植木孝之 at 15:40| Comment(0) | TrackBack(0) | えらそうに評論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする